一、

我が中学の其の位置は
構は八文字浮島の
兜の城と名も高き
旧城跡を前に見て
峨々たる嶮峰鋸は
其の東面に天を指し
本島一の大河なる
信濃川は其の西に
汪洋広野を浸しつつ
北海さして流れゆく

二、

清秀雄偉の山川の
感化を受くる我が校は
明治五年の冬の頃
洋学校の開始より
爾来変遷定めなき
世の辛酸を凌ぎ来て
各科の学士文武官
民間官途の別ち無く
名有る人物出ししは
幾百人か数知れずく

三、

殊に聞こえし和同会
剛健忠武の熱血を
維新の歴史に濺ぎたる
彼の先輩の烈を継ぎ
勇壮活發一千の
健児の心に二つなく
団結いとど固くして
風紀の殊に厳なるは
天下中学多けれど
恐らく類稀ならむ

四、

斯かる名誉の閲歴を
伝へ来りし我が校に
学べる我等学生の
その責任やいと重し
重き責任負へる身に
軽き振舞許さめや
開校以来数十年
汚無き名を汚れしめ
此の山川に背かむも
唯我が覚悟次第なり

五、

いでや是より諸共に
学びの道に油断無く
互に励み励まされ
心を磨き身を修め
あっぱれ有為の人となり
世に大業を為し遂げて
我が中学の誉をば
末代までも伝へなむ
我が中学の誉をば
末代までも伝へなむ

一、

翳すゆかりの三葉柏
源淵とほきわが藩の
高き精神を新しく
ここに伝へて剛健の
校風守る一千余
北の丈夫血はたぎるく

二、

鋸山はけざやかに
東の空に聳えずや
汪洋として信濃川
西の沃野を洗はずや
秀麗の気を鍾めたる
われ等濁りのあるべきや

三、

歴史かがやく長岡の
文の林に生ひたてる
若木は国の柱ぞと
誓ひ男々しく奮ひ立ち
智育体育日も足らぬ
われらよ自由民主の子

四、

若き命を誇りにて
行手はるけき日本の
平和の明日のいしずゑを
築く責務を双肩に
父祖の労苦を心にて
励め励まん我が徒よ

一、

天地に轟く　歓喜のどよみ
帰れる君らが　輝く勇士
練りに練りたる　日頃の腕
奮闘努力の　尊き極み

二、

歌へや歌へや　選手の力
勝利の栄誉は　天下に高し
諏訪堂軍神　光を馳せて
君らを迎ふる　此の黄昏に

一、

古き歴史の 跡問へば
兜城下の 鬨の声
ナイン白衣の 肉躍り
久遠の光は 皎々と
北に撫剣の 益良男が
門出の曲ぞ 胸に沁む

二、

柏の旗の 行くところ
桂冠こゝに 五十年
友よ鉾とれ 戦はん
覇権を譲る 事勿れ
我等一千 こゝに有り
覇権を譲る 事勿れ

序、

嗚呼　黎明（あさ）来たる黎明来たる
暁の鐘殷々（いんいん）と
兜城下に鳴り響く
門出の朝（あした）祝うかな

一、

長陵岡のそよ風に
鬚髯（しゅぜん）なびかせ滔々と
進め竜啼嘶くぞ
鉄衣我が背に翻へる

二、

逸る若駒押へつゝ
鋸山連峰前にして
紫廟に勝利を誓ふ時
雄志は胸に溢れ出づ

三、

信江流に漱ぎ
血潮を胸にたぎらせて
手綱引きしめ粛々と
流沙に向う意気高し

四、

彼の蒼竜が志を受けて
忍苦正に幾星霜
必勝の意気胸にして
進み出づる柏葉門

一、

浮島五十の夢包む　　蒼紫の森の深緑
緑に振ふ山彦は　　長陵軍の球の音
聞け益良男の雄叫びを 　鋸下ろす雨風に
鍛へし腕今ぞ今　　力にうなる晴戦（はれいくさ）

一、

打てや振へや　長陵の
鋸下ろす　雨風に
鍛へし選手の　鉄腕なりて
此処に立ちたる　我が選手

二、

血潮迸り　肉躍り
柏の旗の　色赤き
兜男子の　敵はいずこ
打てや破れや　敵塁を

三、

天麗かに　雲なくも
飛び交う球は　雷か
鍛へに練りし　鉄腕なりて
打てや破れや　敵塁を

一、

嗚呼長高（中）に　生気有り
青春の児が　熱血の
諸手にかざす　紅の
柏の旗の　色見ずや
久遠の思い　胸にして
挙げて帰れや　勝鬨を

二、

嗚呼長高（中）に　霊気有り
春秋に富む　益良男が
歴史を誇る　諏訪堂の
健児の意気を君見ずや
兜城下に　桂冠を
かざして帰れや　我が選手

一、

洋々流るゝ信濃川
行くや千里の北の海
峨々たる嶮峰鋸は
男子に与ふる黙示有り

二、

歴史は古りて半世紀
吾が先人の其の意気を
戊辰の昔に忍びては
猛き心の躍らずや

三、

いざ戦はん諸共に
正義の戦華やかに
真紅の御旗手に持ちて
長陵健児こゝにあり

類ひなき 古き歴史
栄えある その血涙史
我等が先人 残せし覇業

長高（中）　長高（中）名にこそ生きよ
血に燃ゆる我等　今こそ立ちなば
制覇の行く手に 輝く光
正しく雄雄しく力に生きん

若人光浴び
若き血躍る 戦はんかな
いざ我等
健児一千 雄叫べば
今こそ待ちにし
柏の勝鬨
大空高く 響くらん

一、

紫紺の連山 日に映えて
蒼茫平原 暮れ行けば
此の日振ひし 我が友の
心の中（うち）ぞ しのばるる

二、

満天星の数見せて
朧月（ろうげつ）今宵 輝けば
新に希望湧き出でん
友よまた来む 戦まで
新に希望湧き出でん
友よまた来む 戦まで